追記
私の作ったプラグインよりも、かなり出来がよさそうなものがリリースされています。 そちらを使ったほうが幸せそうです。
本文
先日PlantUMLというテキストでUMLを描くためのツールのVisual Studio Codeのプラグインを作りました。 テキストをぱちぱち書きながら、プレビューを確認できるツールです。
ということで、PlantUML + Visual Studio CodeでUMLを描く方法を書いていきたいと思います。
インストール
PlantUML
PlantUMLのサイトからplantuml.jarをダウンロードして任意の場所においてください。
Graphviz
PlantUMLが内部で使ってるツールです。
Graphviz - Graph Visualization Software
インストールはデフォルトのC:\Program Files(x 86)
の下がいいです。
そこにインストールするとPlantUMLは、何も設定しなくても自動的に認識してくれます。
プログラムファイル以下以外にインストールした場合は、GRAPHVIZ_DOT
環境変数で場所を教えてあげてください。
Visual Studio Code
ここからダウンロードしてインストールします。
okazuki PlantUML
Visual Studio Codeの拡張機能です。
Ctrl + P
を押してext install okazukiplantuml
でインストールできます。
もっと簡単な方法は、Visual Studio Code画面左側の一番下にある拡張のアイコンをクリックしてUMLあたりで検索したら出てくるokazuki PlantUMLの所でインストールを押すだけです。
以下の環境変数を定義します。
- JAVA_HOME: おなじみのJavaのインストールフォルダ
- PLANTUML_HOME: plantuml.jarのあるフォルダ
TEMP: 定義されてない人はいないと思うけどv0.1.0から不要になりました
UMLを描こう
ということでUMLを描いてみようと思います。PlantUMLでUMLを描くときには、以下のような感じで書き始めていきます。
@startuml ここに色々書いていく @enduml
シーケンス図
ということで、オブジェクト間のメッセージのやり取りを描くシーケンス図の書き方を説明します。基本的にA -> B: message
の書式で書きます。
@startuml A -> B: message @enduml
ファイルを保存して、Ctrl + P
を押してPlantUML Preview
というコマンドを実行すると、プレビューが開始されます。
以下のようなシーケンス図が表示されます。
矢印を点線にしたい場合はB --> A: response message
のように矢印を表す部分の-
を2つに増やします。
@startuml A -> B: message B --> A: response message @enduml
これが基本になります。
分岐・ループ
次に分岐とループの書き方です。alt message ~ else ~ end
と書くことで分岐が書けます。
@startuml A -> B: message B --> A: response message alt condition A -> B: true case else A -> B: false case end @enduml
ループは、loop condition ~ end
と書きます。
@startuml A -> B: message B --> A: response message alt condition A -> B: true case else A -> B: false case end loop i < 10 A -> B: insert(i) end @enduml
以下のようになります。
コメント
処理が複雑になってくるとコメントがほしくなってきます。
そしたらシングルクォートでコメントが書けます。複数行コメントは/' ~ '/
になります。
@startuml A -> B: message B --> A: response message ' 分岐の書き方 alt condition A -> B: true case else A -> B: false case end ' ループの書き方 loop i < 10 A -> B: insert(i) end @enduml
アクター・バウンダリー・エンテティー等
シーケンス図にアクターやバウンダリーなどの図形を表示することが出来ます。
例えば以下のようにA~Eまでを、actor
, boundary
, control
, entity
, database
として定義してシーケンス図を記述することで、上にあった矩形の形が指定したものに変わります。
@startuml ' 定義 actor A boundary B control C entity D database E ' 処理 A -> B A -> C A -> D A -> E @enduml
矢印の形を変える
代表的なものとして以下のような矢印があります。
@startuml A ->x B A ->> C A -// D A -\\ E @enduml
ナンバリングをする
シーケンス図外部で処理の流れを説明するときに番号がふってあるほうが便利です。
そんなときは、autonumber
と書いておくと自動的に番号がふられます。
@startuml autonumber A ->x B A ->> C A -// D A -\\ E @enduml
ノートを追加する
付箋みたいなノートを追加することが出来ます。note left of ~ end note
, note right of ~ end note
, note over of ~ end note
で指定できます。
@startuml autonumber A ->x B note right of message1 end note A ->> C note over of message2 end note A -// D A -\\ E @enduml
外部参照
処理がでかいものや共通的なものは外部を参照してくれって書きたくなりますよね。そういうときはref over A, B: message
のように書きます。
@startuml autonumber ref over A, B, C: 初期化処理 A -> B: 主処理 B -> C: API呼び出し B --> A: 結果 ref over A, B, C: 後始末 @enduml
ライフラインを引く
オブジェクトの生存期間を示すときは、activate XX
~deactivate XX
もしくはactivate XX
~destroy XX
を使います。
@startuml autonumber ref over A, B, C: 初期化処理 A -> B: 主処理 activate B B -> C: API呼び出し activate C destroy C B --> A: 結果 deactivate B ref over A, B, C: 後始末 @enduml
クラス図
次はクラス図です。
クラスなどの定義
クラス図はクラスの定義、インターフェースの定義などをして、それらの関係性を定義していくという感じになります。クラスの定義は
class Hoge { }
のように行いインターフェースの定義は
interface IHoge { }
のように行います。
抽象クラスの定義は
abstract class AbstractHoge { }
のように行います。
メンバの定義
クラスやインターフェースにメンバを定義できます。書き方はアクセス修飾子 型 名前
のような感じになります。アクセス修飾子は+#-~
などがあります。
順にpublic, protected, private, package privateになります。
@startuml class Person { -int _age -string _name +int Age +string Name +void Presentation(TextWriter w) } @enduml
これで以下のようなクラス図がかかれます。
関連の定義
継承やコンポジションなどの関係を定義できます。--|>
で継承、--o
でアグリゲーション、--*
でコンポジションになります。
--
の部分を..
にすることで破線にできます。
また、--
だと縦線になり-
のように1つだと横線になります。
@startuml interface IFooable { + void Foo() } class Object { } class Foo { } class Bar { } class Baz { } Foo ..|> IFooable: なんか実装 Foo --|> Object: 自動的に継承される Foo *- Bar Bar o- Baz @enduml
抽象メソッドやstaticの定義
{abstract}
と{static}
で指定します。
@startuml class Foo { {static} -int counter {abstract} #void Hoge() } @enduml
関連の線の横に"xxx"と書くことで、関連が1対多なんだよといった注釈をつけることが出来ます。
@startuml class A { } class B { } A "*" -* "1" B @enduml
ノートの追加
コメントみたいなのを追加できます。note top of XXX: message
と書くかnote "message" as ノートの名前
のように書きます。
ノートの名前を付けると、関連の定義で指定したような線をクラスなどに対して引くことが出来ます。
@startuml class Foo { } class Bar { } note top of Foo: Fooの説明 note "FooとBarの説明" as NoteName NoteName .. Foo NoteName .. Bar @enduml
アクティビティ図
最後にアクティビティ図について説明します。 処理の流れを説明するための図なので、業務フローとかを描くのによく使われてるあいつです。
これは簡単で:処理名;
を連ねていくだけで基本的に書けます。処理の開始と終了は、start
とstop
で表します。例えば以下のような感じで書けます。
@startuml start :処理1; :処理2; :処理3; end @enduml
これでこんな図が出来上がります。
if文を書くことで分岐を書けます。
@startuml start :処理1; if (condition) then (label1) :処理2; else (label2) :処理3; endif end @enduml
とてもプログラムちっくですね
elseif
を使うこともできます。
@startuml start :処理1; if (condition) then (label1) :処理2; elseif (condigion2) then (label2) :処理3; endif end @enduml
ループ
ループはrepeat
と、while
の2つが使えます。前者がdo while文で後者がwhile文にあたります。
@startuml start repeat :食べる; repeat while (おなか一杯?) while (おなか一杯?) :食べる; endwhile end @enduml
並列処理の記述
並列して流れる処理も記述できます。fork
とfork again
とend fork
を使います。
@startuml start fork :左手で食べる; fork again :右手で食べる; end fork end @enduml
ノートの記述
アクティビティ図もノートをおけます。note right ~ note end
やnote left ~ note end
で書けます。floating
を最初につけることで何にも紐づいてない浮いたノートが書けます。
@startuml start fork :左手で食べる; note left 口は1個じゃね? end note fork again :右手で食べる; end fork floating note right 結局口がボトルネックでした end note end @enduml
矢印に注釈をつける
処理の間に-> message;
を挟むことで間の矢印に注釈をつけれます。
@startuml start :食べる; -> 箸を持ってね; :ひたすら食べる; end @enduml
レーンをわける
アクティビティ図でよくあるのが、やる人が違うとレーンをわけて処理を書きます。これはレーンが変わる処理の前で|レーンの名前|
と書くことで実現できます。
@startuml |担当者| start :メールをしたためる; -> Excel方眼紙をメールで添付すること; |処理する部署| :Excel方眼紙を印刷する; |幹部社員| :押印; |処理する部署| :PDF化; -> 承認が下りたことを伝える(PDFをメール添付); |担当者| :PDFを1年間保管する; end @enduml
まとめ
シーケンス図、クラス図、アクティビティ図の書き方を簡単にですが紹介しました。 ここにあることだけでも、結構色々表現できるようになると思います。
PlantUMLのページには、ここでは紹介しなかったような色の付け方など色々なテクニックや、ここで紹介しなかった図の書き方などが紹介されています。
一度どんなことが出来るのか流し読みをしてみることをお勧めします。 流し読みしておけば、後でこういうの描きたい!って思ったときに思い出せるので。